怖い話まとめ

ネットに散らばる怖い話をまとめています

怖い話まとめ【36】

あるアパートの話。
数年前、学生だった私はあるボロアパートに住んでました。
広い間取りの割りに家賃が安く、いい部屋なんだけど一つ気に入らない事があった。
それは決まって夜の11時ぐらいになると上の階から
「ドンッドンッドンッドンッ」 
と、ノックの様な音がすることだった。
始めは猫かなんかだと思ってたが、何時も決まった時間に音がするので上の階の住人の仕業だと思い、
借り始めから3ヶ月経ったある日上の住人に文句を言いに行った。
しかし上の階の住人は
「家じゃありませんよ、前にあなたの部屋に住んでた人も同じような事言ってきましたけど、猫や鼠じゃないんですか?」
更に
「こちらには音なんて聞こえませんし…家には関係ないと思いますよ」
と少しうんざりした様子で付け加える。
私は腑に落ちなかった、しかし上の住人は本当に何も関係無いと言う
その態度は
「また下の階からイチャモン付けてきたよ、勘弁してくれ」
と言った感じだった。 

その日の夜も
「ドンッドンッ」
と音が鳴った、私は少しイライラしてたので箒を持ち出し天井に向かって
「ドンッ!ドンッ!」
と突いた、すると…
「…ドン…ドンドン!ドンドンドン(カタカタ)ドンドンドン(カタカタ)ドンドンドン!!!」
狂ったように天井を叩く音が鳴り響く、しかもその音源は天井内をカタカタ這いずり回るように移動している、怖い…!!
私は服の中で虫が蠢いている様な悪寒を感じた。
「カタカタ…カタ………」
その音源が部屋のある所で止まった、押入れの上の辺りだ…
押入れの中に天井裏に通じてる事は知っていた。
私は
「危ない…来る…来る!!…逃げろ!!」
と言う脳の警告に従い部屋を飛び出し、その日は友人の家に泊まった。 

翌日、大家さんに事情を話し部屋を出ると告げる、大家さんは
「えっ本当に?うーん…」
と唸った後に
「ちょっと待ってね、調べるから」
と言って私の部屋に行く事に。
部屋に入り押入れの中から天井に入ろうとする大家さん
しかし、天井裏に上半身まで入った所で大屋さんは引き返した、大家さんの顔は真っ青だ。
「ごめんなさい、ちょっと待ってて」
「あ、あなたも外に出て」
大家さんはそう言って自宅へ一旦戻った。
その後警察が来て天井内を捜索、私は軽い事情聴取を受けただけで解散となった。
警察と大家さんは、私に天井裏にあったモノを伏せていたが、私は大家さんが電話してる隙に天井裏を覗いていた。
そこにあったのは 白骨化した人間の手 だった。

怖い話まとめ【35】

金縛りで思い出した。
数年前に住んでた家が見事な幽霊屋敷だった。
なので金縛りとかなりまくり。
大抵金縛り状態になった後、女の子が腹の上乗ってるか、壁から何本も手が生えて来て撫で回されるかだった。
でもその日は違った。
うっかり金縛りになった俺は一刻も早く眠ろうと足掻いていた。
夏なのに冷たく(寒くとは又違う)なっていく部屋。
このままでは又酷い目に遭ってしまう。
焦る俺を嘲笑うかの様に窓がカタカタと鳴る。
そして、ゆっくりと開かれる窓ガラス。
入って来たのは知らないおっさんだった。
ニューキャラクターの登場にドキドキの俺。
しかし体は指一本動かせない。
何とか眼球を必死に動かしおっさんを観察。
体、でかい。
髪、ボサボサ。キューティクル皆無。
目つき、何かおかしい。
印象、肉体派ホームレス。
何とかそこまで判断するとおっさんがこちらに近付いて来た。
どんな怖い目に遭うのかビクビクの俺。
せめて獲物を見ようと、近くなったおっさんの手元を凝視。
錆びて曲がった鋸‥とピッキンググッズ。
おっさんは幽霊じゃなく強盗でした。
あの時ほど気絶してェー!!と思った時はない。
友人が持ち込んだ猫が居なかったらマジ死んでた。

怖い話まとめ【34】

今日とある病院の病棟で使っている心電計が調子悪い、という事で病棟まで呼び出しをくらって行った。
6階建の5階にある病棟で、あれこれ様子を見てさぁ帰ろうという事になった時、普段は大体階段使うんだけど
今日は休日出勤だしは荷物もあったからエレベーターで一階まで降りる事にした。
エレベーターホールに行くと、ちょうどエレベーターが4階から上がってくる所で、
ちょうどいいやと下ボタンを押してまっていた。
エレベーターが5階に到着しドアが開くと、中にオバサンが一人乗っていた。
降りる気配ないし、表示を見たらまだ上矢印が光っていたため、6階まで上がるのだろうと
「あ、下なんで」と声をかけた。
おばさんも了解とばかりに頷いて「閉」ボタンを押したらしく、すぐにドアは閉まった。
…と思ったらまたすぐにドアが開いた。
エレベーターって途中階で止まった後、進行方向が変わるときって一度閉まってもまたすぐ開くじゃない。
そんな感じだったと思う。
階のボタン押し忘れたのか?と思ったんだけど、開いてみたら中に人が乗っていない。
絶対に降りたわけじゃない。明らかに上までなんて行っていない。
行ったとしたらどんだけ高速なのかと、そんな勢い。
「??あれ?」
とワケわからん俺だったが、一緒にエレベーター待っていた患者さんは普通に乗り込む。
俺「乗るんですか?」
患者「?当たり前じゃないですか」
俺「さっき人乗ってましたよね?」
患者「乗ってませんでしたよ。っていうか今乗ってないじゃないですか」
患者さん、めっちゃ不審そう。
ええええええええ今俺、中のオバチャンと話までしたけど??
もはやビビリの俺はエレベーターを使う気をなくして、そのまま階段で一階まで降りた。
あんなに普通の人っぽいオバケっているもんなの?

怖い話まとめ【33】

2005年の夏に当時の彼氏と千葉の海に程近い普通のホテルに宿泊しました。
彼氏が友達に聞いたりネットで調べて予約してくれたホテルなんですが、
夏休みシーズンということでどこも混んでいました。
やっと2人1部屋だけ空いてるホテルがあり決めたらしいのですが、
合宿の大学生やら家族連れやらサーファーやらでロビーも廊下も人だらけでした。
泊まったのはそのホテルの4階なのですが、その階は静かで廊下に誰もいないんですよ。
昼間だし皆海に行ってるんだなーと思ってました。
ホテルは横長で少しピラミッド型というか…1階が10部屋なら2階は9部屋って感じで
上の階に行くほど部屋数が少なくなっていくんですが、4階だけ3階と部屋数が同じなんです。
しかも端の部屋だけ新しく作り足したような。
変なの!って思ってたら自分たちがその部屋でした。
でもあんまり気にせず部屋に入ろうと鍵を開けました。
ガチャン
…カチャン
は?
1回鍵開けたのに中から閉められました。
誰かいるのかなwwって彼氏と笑いながらもう1回鍵挿したかったけどささらなかった。
鍵、合わなくなったんです。
ものの数秒で。
とりあえず彼氏がフロントに戻って事情説明したら偉い人が来て開けてくれた。
私『鍵間違えてたんですか?』
偉い人『いえ…あのー…』
でなんか偉い人に業務連絡が入って偉い人去っていったんです。 

そのことは気にせず海に行って夕方頃にまたホテルに帰って来ました。
部屋に入ったら窓が開いてて、なぜか机が窓際に移動してました。
従業員がなんかしたんだろうと思ってまた気にせず…
お風呂に入りにまた部屋をでました。
お風呂から出たら彼氏が待っててくれて一緒に部屋まで行ったんです。
普通に鍵開けて部屋に入ったら
ざぁぁぁぁぁぁぁ…
私はポットのお湯が沸いたんだと思ってポットに近づいたら、コンセントが刺さってないんです。
あれ?って思ったら彼氏が
『トイレ…?』
トイレを見たら水が流れてました。
タンク式で脇に流すレバーが付いてたんですが、今さっき下がったって感じに揺れてて…
『故障かな?』
って思ったら目の前でレバーが上がってまた水が流れました。
これ故障じゃない。おかしい。思ったけど口に出しませんでした。
元に戻した机はまた窓の近くにありました。
『もう寝よう』
いちゃいちゃする気も無くなり寝ました。
ウトウトしたかなー…くらいのときに髪を引っ張られる感じがして起きました。
時計を見ると朝方4時。
『朝方の方がおばけ出るよ』
と母に言われたのを思い出して怖くなりました。 

また机が窓の近くにあったから…何より髪を引っ張られてるのが怖くて早く寝なきゃ寝なきゃってばかり考えて
余計に眠れなくなり、とりあえず髪どうにかしようと引っ張られてる原因を探しました。
私は右を下にして寝ていたので、目だけ振り向く形で見てみました。
彼氏の手でした。
なんだバカヤロー!!!!!と思ったけどおかしいです。彼氏反対側向いて寝てるんです。
左を下にして。手を見たら左手だったから。
彼氏は軟体人間じゃないし、何よりベッド別だからこんなに手伸びるわけない。
じゃあ、私の背中にくっついて寝てるのは誰?
起きた時には病院でした。
私、窓際で首つったらしいんです。
全然覚えてないんですが…無事に生きてて良かったと思ってます。
ちなみに引っ張られてた髪は窓際に落ちてて、未だにそこハゲてます…
駄文、長文、あんまり怖くなかったらごめんなさい。 

怖い話まとめ【32】

高校の修学旅行で沖縄に行った生徒の話です。
体験したのは黒澤くん(仮名)です。
彼ら一行は学業の一環として『ヒメユリの塔』や『ガマ』に見学していました。
学業と言っても殆ど旅行みたいなものなので、多数の生徒は遊び半分で見学していました。
特にはしゃいでいたのは河野くん(仮名)と林くん(仮名)でした、『ヒメユリの塔』では他の見学者であるおばあちゃんに
「不謹慎だよ、静かにしてね」
と注意されましたが、彼らは全く反省してない様子でした。
次に一行は『ガマ』へ向かいます、
相変わらずはしゃいでいる河野くんと林くんに嫌悪感を抱いている人がいました、
小倉くん(仮名)です、彼はよく色んな生徒にからかわれているいじめられっこの立場にいました、
ですがこの時は、まるで親の敵を見るような目で河野、林を睨んでいました。
彼は何時も無気力で厄介事は避けようとしていたので、明らかに気分を悪くしてる様な顔見た事ありません、
気になったので黒澤は
「どうしたの?気分悪そうだけど…」
と聞きました。
小倉は
「いや…あいつ等がさ…結構やばい事してるから…」
といいます
黒澤「河野くんと林くんの事?確かに不謹慎だよね、さっきも起こられてたし」
小倉「うん、黒澤くんもあいつ等から離れてた方がいいよ、巻き込まれるかもしれないから」
黒澤「ん??あぁ、また怒られそうだからね、とばっちりは嫌だから離れてるよ」
小倉「いや、怒られるだけならいいんだけどね…」 

黒澤は含んだ言い方をする小倉に
「どういう事?何かあるの?」
と聞こうとしましたが、先生の
「ハイつきましたー、これから洞窟になるので足元に気を付けて下さいねー、
あとくれぐれも騒がないこと!特にそこの二人!」
で遮られました。
そこの二人!と指された河野と林を見て、絶対また何かやりそうだなと言う表情のまま、先生の説明は続きます、
「ここ『ガマ』では、戦時中民間の隠れ家、または兵隊の駐屯所としても使われており~…人は地獄の様だと…」
先生は説明しながら洞窟内へ入っていきます。
黒澤と小倉も先生に続いて入っていきます、そして大空洞に入ろうとした時でした。
小倉は
「ひっ!」
と小さく悲鳴を上げ立ち止まりました、そのあと
「ごめん黒澤くん、俺もう無理」
と言い残して殿を務めていた先生の元に行き、付き添われながら洞窟を出て行ってしまいました。
黒澤は
「やっぱり何かあるのか、後で聞いてみよう」
と思いながら、小倉がヤバイと言っていた二人を見ました。
相変わらずはしゃいでいます、
「骨出るんじゃね?」
とか言いながら地面を蹴っています、先生は、もう気にしないで
「はい、では明かりを消しますよ~本当に真っ暗になるんで気をつけてね~」
と言い明かりを消しました。
明かりが全くない、夜に目を瞑ってた方が明るいのではないか、と言えるほどの暗さでした、黒澤が
「本当に真っ暗だな」
などと思っていた時です 

突然
「うわあぁぁぁぁ!!」
と言う叫び声が上がりました、声の主は河野と林でした
先生が
「林!河野!いい加減にしろ!」
と言っています、しかし河野と林は
「ああっあぁぁ!」
「いやだぁっぁぁ」
と叫びながら走り回っている様でした
先生も流石に変と思ったのか明かりを付けました、河野と林がいません
…いや、立ち入り禁止のロープの奥にいました、二人は、
「いやだぁぁぁ!やめてくれぇぇぇ!」
「それは俺のだぁぁ!とらないでぇぇ!」
「やめろ!やめろぉ!そんなのたべたくない!そんなのたべたくない!」
と泣き叫びながら地面を素手で堀返しています。
先生は
「なぁ!…なにやってんだ!」
と駆け寄り、抱きかかえようとしたが、二人は振り払い
「だめだぁぁ!あんたは何も知らない!!何も知らない!」
「いやだ…こんなこと…たべるのはだめだ…あぁぁぁ…」
と叫びながら一心不乱に地面を掘ります 

「やめてくれぇぇ…人でなしぃぃ…」
と言いながら河野と林は先生二人と生徒三人がかりで取り押さえられ、洞窟から連れ出されました
他の生徒も続いて出て行きます、外のベンチには俯いた小倉が座っていました
小倉は
「あいつ等おかしくなったんでしょ?自業自得だな…」
と言ってきました
黒澤は
「小倉くん、何か見えたんだよね、何が見えたの?」
と聞きました。
小倉「頭だよ…人の…笑顔だったり怒ってたり、泣き顔だったり…青白い人の頭が…
俺達が入ったとたん、地面からニョキ~って生えてきて…ゆらゆらと動き出したんだ…」
黒澤「頭!? 体は無かったの?」
小倉「無い、首の長さが2mくらいで…首から下がない20人以上の頭が…ゆらゆらと揺れてた…」
「俺昔から良く見るんだよね、そう言うの。でも今までに見たのとは比べ物にならない、ここは恐ろしすぎる…」
小倉はそう付け加えました。
河野と林はその後まる一日病院で寝込み、『ガマ』に入った時の記憶が無くなっていました
黒澤は後で河野と林から、神社にお払いに行って3日間しごかれたと聞いたそうです 

怖い話まとめ【31】

医療器械の納入業者をしています。ある日夜9時過ぎに病院から
「臨時の治療で物品を大量に使ったので、すぐ補充して」
という連絡が入ったので、帰宅ついでに病院へ行った。
そんなのは割とよくある話で、連絡の来た部署(仮に25番検査室としておく)に物品を持って行ったのが10時ごろ。
ちなみにその部屋は循環器で使う心臓カテーテル室という検査室。
連絡が入ったと言っても、担当職員はみんなその場からは引き上げていて誰も居ない。
検査室は真っ暗だったので電気を点け、さっさと納品しようと検査室内の機材庫に入った。
その時だった。
いきなりスピーカーから
「ビーッビーッ」
という大きな音が聞こえてきて続いて
「コードブルー発生!コードブルー発生!25番検査室です!」
という院内放送が入った。
(コードブルーというのは、緊急で蘇生の必要な患者が発生した、という意味の放送)
「こんな時間にコードブルーかよ。大変だな。25番検査ってどの部屋だろう」
と、音にビックリしたもののあまり気にすることなく、納品を続けた。
気づいたのは、同じ放送がもう一度繰り返された時だった。
「…25番検査室ってここじゃない?」(普段25番とは呼ばないため、気づかなかった)
再度検査室内を見回すも、当たり前のように人っ子一人いない。
それなにのなぜこの部屋でコードブルー?? 

それっきりその放送は無かったが、非常に気味が悪くなったため超適当に納品して、
そのまま逃げるように検査室の外へ出た。
そうしたらちょうどその時に、よく知っている循環器の医者がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
今のコードブルー聞いてきたのかな?と思い、その先生に
「臨時もあったのにこんな時間にコードブルーって大変ですね。でもカテ室(25番のこと)誰も居ませんよ」
と声をかけると、医者はきょとんとした顔で
「何言ってんの?コードブルーなんて無いよ。臨時はあったけど、もう終わってるし」
「えええ?今、聞いたんですけど」
自分の耳を疑いながら申し立てる俺に、先生は
「夜だから全館放送に制限かかってんのかな?気づかなかった」
と、その場でPHSにて事務へ電話確認をしてくれた。(放送をする部署に)
しかし結果としては
「そんな放送はどっからも依頼されていない」
とのこと。要するにコードブルーなどない、と。
「聞き間違えたんじゃないの?」
と笑って、先生はくだんの検査室へ入っていった。もともとそこに用があったらしい。
普段の営業としての俺なら追って入って話の一つでもするところだけど、
それはもうカンベンな気持ちだったので、そのまま帰宅した。 

怖い話まとめ【30】

俺小さい頃母親に軽い虐待っぽいものを受けてたのね。
でも当時小さくておまけに母子家庭で一人っ子だった俺は他の家の家庭環境なんて分からないし、
同い年の子がどういう風に親と接してるかも分からなかったからきっと他所の家族も
こんなもんなんだろうなぁ位にしか思わなかったから誰かに言ったりもせずに普通に幼稚園とかも行ってたの。
で、たぶん6歳くらいの時に母さんが仕事を辞めたから二人で母方の実家に住むことになった。
その爺ちゃんちってのが親戚の中で分家本家とかあるうちの本家の方で、
家に大きな神棚みたいなのがあってそこに神様が居たの。
神様って言ってもお化けとか普通の人には見えないとかそういうのじゃなくて、なんていうか神様の本体みたいな。
分家にはそれをかたどった偽者みたいなのがあるらしいんだけど、爺ちゃんちは黒塗りで
ちっちゃい観音開きの縦置きにした棺みたいなのにその神様が入ってるのね。
でもその神様は女の人がお世話をしちゃいけないみたいで、
毎年決まった日にその家の男の人が中から出して世話をするのがしきたり。
俺には父さんが居なかったから自動的に次に世話をする役目につくのは俺って言う事になる訳で、
爺ちゃんはそれが嬉しかったんだかノリノリで神様のことを小さい俺に説明してくれたりしてた。
俺は神様が(女の子でいうとぬいぐるみみたいな感じ)可愛くて小さい家族みたいなイメージで大好きになって、
幼稚園から帰ってきては神様に向かって話をして庭で花を摘んでは
家の裏にあるお稲荷さんとその神様にお供えしたりしてた。
ある日、爺さん婆さんが居ないうちに母さんが俺にプチ虐待をしてくるような事があって
(喜ばれる話じゃないから具体例割愛するね)でも俺は虐待って認識はなかったから、
凄く怒られたくらいの捉え方で家の裏のお稲荷さんの祠まで逃げてそこで泣いてたんだ。
で俺はいい事を思いついた。母さんのことを神様たちに相談することにしたの。
俺は泥で作った団子と花とお金とをお稲荷さんと神様に供えて
「母さんが許してくれますように、俺の事もっと好きになって優しくなってくれますように」
ってお願いした。
でも当然そんな事をしたぐらいで事態が良くなる事はなくて、
むしろ仕事を始めたばかりでストレスが溜まってたのか母さんのプチ虐待は頻度を増してった。 

次第に爺さん達も俺の痣とかを怪しみ始めてて、子供心にもこれはやばいと思った俺は
毎朝毎晩お供え物を持って何度も何度もお願いした。
そしたら2週間くらいたった頃、明け方早くに目が覚めることが多くなって来たんだ。
物音がしたような気がしてはっとして起きるけど音なんて全然鳴ってない。
そんなことが何日も続いた。
そしてある日の朝、3時か4時位にいつものように目が覚めてしまった俺はおしっこがしたくなって、
便所に行くついでに神様に挨拶をしに行くことにしたんだ。
それで縁側の廊下を歩いてたら、庭に誰か居ることに気づいた。
障子を開けてみると、見た事ない白緑の着物を着たおじいさんが庭にある焼却炉の上から俺をじっと見ていた。
おじいさんは俺と目があった事に気づくと、にこっと笑って頷き
俺に向かって何かゆっくり喋った(ガラスが閉まってたから声は聞こえない)
俺はきっと近所の神主さんか何かなんだろうと思って、お辞儀をしてそのまま便所に行って寝たんだけど、
それから何日も経たないうちに母さんが倒れた。
原因は職場のストレスらしかったけど、胃がおかしくなったみたいで
2週間かそのくらい入院していた(たぶん精神科とかにも行ってたんだと思う)
2週間後、退院して帰ってきた母さんはそれこそ人が違ったかのように俺に優しくなっていた。
というか、母さんじゃなくなってた。
もう明らかに違う。
見た目とか声とかは変わってないんだけど、俺に対する態度とかはまるきり別人だった。
まず呼び方が変わっていた。
以前は下の名前でそのまま読んでいたのに帰ってきた母さんは俺をゆーちゃん(本名がゆうすけなんです)なんて
呼びはじめて、おまけにいきなり料理が作れるようになったり手を繋ぎたがるようになったり
昔はありえなかったのに一緒に買い物に連れて行ってくれたりオムライスの字とかまで書いてくれたりするようになった。 

でも、その代わりに俺の好きな物とか好きな色とかは忘れてる。
もともと知ってる方ではなかったけれど、きれいさっぱり。
母さんがくれた押し花を見て
「ゆーちゃん押し花が好きなの?お母さんも押し花やってみたいな^^」
とか(俺が知ってる母さんの唯一の趣味が押し花なのに)
そしてそれから13年間、今に至るまで母さんはそのままだ。
虐待の事はそもそも俺と母さんしか知らなかったんだけど、そのことに関してもまるきり忘れたみたいな感じだった。
もちろんそれから殴られたり蹴られたりもしなくなった。
これは俺の勝手な想像だけど神様は別の誰かを母さんの中に入れたんじゃないかと俺は思ってる。
だとしたら最初に母さんの中に入ってた本物の母さんはどこに行ったんだろう。
俺ももうそろそろ20歳。
神様のお世話をする年齢が間近に迫った今、それが毎日気になって仕方がない。