怖い話まとめ

ネットに散らばる怖い話をまとめています

怖い話まとめ【29】

わたしの体験談なんですが、冗談半分で聞かないでください。
絶対に「嘘だ。そんなことあるはずがない」とか思わないでください。
・・・これは、わたしが小学校に入る前です。
髪を切りに、某美容室へ行きました。
そこには、初めて行くところで、入った感じにもちょっと怖かったです。
やがて、わたしの番が回ってきて、切り終わり、母がやってもらっていたところ。
棚に練習用のマネキン(首だけ)がたくさん置かれていました。
年期もあるのか、ところどころ顔の部分が、はがれていました。
わたしは、「まあ、きれいな、お人形さん」と呟きました。
すると、お店の人が
「触るのもいいけど、あまり触ると、今夜来るわよ?」
と笑いながら言っていました。
そういわれて、わたしは、すぐさまマネキンを置きました。
その夜です。
わたしは、突然目が覚めたのです。
「誰かわたしを見てる・・・」と感じました。
体も動かなく(俗に言う金縛りってやつです。)恐怖感が上昇しました。
ふと、冷や汗が走りました。
直感が走ったので、縁側を見ました。
すると、そこには、今日触ったマネキンの姿がありました。
ガラス越しなので、目もはっきりとしていました。
その首だけのウェーブのかかった女のマネキンが笑いながら言うのです。
「・・・ふふっ・・・」
首を宙に浮かせながら、わたしを見ながら笑うのです。 

怖くて怖くて、母をゆすり起こしました。
その瞬間金縛りがとけて、母を起こしたとたん・・・!
体が動くようになり、
「お母さん!助けて!今日触ったマネキンがわたしを見てる!そこにいるの!
ガラスにぴったりくっついてるの!はやく!おきて!」
と半分錯乱状態になっていました。
「何を言ってるの?マネキンなんかいないじゃない。寝ぼけてないで、早く寝なさい。」というのです。
「本当だよ!信じて!」
と、あまりにもわたしがしつこく言ったので母は呆れながら、縁側の方へ行き「ほら。いないでしょ?」
と干してある洗濯物を指さし、「此れがそう見えたんじゃない?」と一言。
でも、わたしは見ました。
母の横後ろにマネキンが大きな口をあけて笑っているのを・・・ 

怖い話まとめ【28】

十数年前、小六の夏休み頃の話
地元はかなりの田舎で滅多に観光客なんか来るような所じゃなかった。
そのせいか、年寄りはヨソモノを毛嫌いし、昔ながらの風習だとか何とか意味の分からない事を言っていた。
夏休みになり俺は近所に住むAとよく二人で遊んでいた。
近くに川が流れていて、釣りをしたり泳いだり毎日のように朝から晩まで飽きずに遊んだ。
七月も終わる頃、いつものようにAと川に遊びに行った。
朝の8時頃だったと思う。
俺達が秘密のポイントと呼んでいた釣りの穴場に誰かがいるのが分かった。
対岸からその誰かを見ると麦わら帽子を被っていて同い年ぐらいのように見えた。
Aが、
「お前誰じゃ!何組の奴じゃ!」
その子はただ俯いて竿を垂らしているだけ。
俺とAは川の向こう側に周り、その子に話かけた。
「あれ?見かけん顔じゃのう?転校生か?まぁええ。俺はA。こいつは〇〇(俺の名)って言うんじゃ!よろしくな」
その子は小さな声で、
「〇〇(仮にBとする)です。よろしく」
肌は白く第一印象は線の細い奴と思いながらも、すぐに友達になり一緒に遊びだした。
次の日、母と祖母に新しい友達が出来たとニコニコしながら話した 

いつものようにAとBと俺で川で遊んでいると、
「おぉ~い」
と原付にまたがった父がこっちに向かって手を振りながら、
「もうすぐ暗くなるけぇ、二人共早よぉ帰れよぉ」
そう言ってそそくさと帰っていった。
AかBが見えなかったんだろうと深く考えていなかった。
空が夕陽に染まりだし、三人で帰る事にした。
ふとBが、
「僕、もっと遊びたいなA君、〇〇君もう少しだけ遊ばない?」
俺は父に怒られるのが怖くて誘いを断り、AとBを残して走って家に帰った。
家に着くと中が騒がしかった。
ただいまと言うと父が驚いた顔をして泣きながらビンタをしてきた。
頭の中が??だらけで、母と祖母も駆け寄って来て泣きながら俺を抱き締めた。
近所の人も口々に良かった良かったと泣いていた。
話を聞くと夜になっても帰って来ない俺達に捜索願いが出ていて三日経っていて諦めかけた頃に俺が帰ってきたらしい。 

俺は父と話してから、まっすぐ家に帰って来たと一生懸命説明した。
AとBも少し遊んでから帰ってきてるはず!と。
父はハッとした顔をして、
「B!?誰にそんな事聞いてきたんぞ!」
父は血相を変え、俺を連れていつも遊んでいた場所まで行った。
Aの両親も来ていて、指をさしながら説明していた時、ドッボーンッと暗い川の中で大きな音がした。
ライトを向けると波紋だけが広がっていた。
すると、
「A~!!」
と叫ぶ声がした。
川の対岸を見るとAがこっちに向かって手を振っていた。
Aの両親が川に飛び込み対岸に届く寸前、Aは川に飛び込みそれっきり浮かんでこなかった。
それから数日後、祖母にBとは誰かを聞いた。
「Bは忌み嫌われた子」
としか教えてくれなかった。
ただこの世の者ではないと言って、もうこの話はするなと言った。
未だにAは帰って来ていない。
もしかしたら、まだBと遊んでいるのかもしれない。 

怖い話まとめ【27】

上京してきた友人に聞いた話です。
友人は山奥の集落みたいな村に住んでたそうです
その村ではいわゆる大地主一家が権力者で、一部の人は「様」付けで呼ぶほどの崇拝染みた扱いを受けてました
当時友人は、その一家を異常だと思っていたそうです、その理由はあまりにも完璧だったから。
少し興味があったので
「何故?」
と私が聞くと、友人は自分が体験した、聞いた事を話してくれました。
友人は集落の中の上ぐらいの立場だった、村の年寄りは皆地主の事を崇めるらしい
当時は
「気に食わない、でもあいつ等は皆かなりの実力を持っている
テストは大体満点、成績もトップ、運動神経も良くてマラソン大会では常にも一位だった
でも異常なんだ、少なくても30年以上完璧な奴しかいないんだ、地主一家は多産で兄弟が多い、
その中には一人くらい駄目な奴がいてもいいじゃないか」
と思ってたと言う
私は
「実はいろんなとこから連れて来てるとか、優秀そうな子を」
と言った
友人は
「いや、地主の所に子供が生まれると必ず小さな祭りが行われる、確かに二十歳ぐらいで
都会に行く人もいるが彼らも年末年始に帰ってきて皆の前に現れるんだ。
むしろ家に留まってる奴らの方が怪しかった、殆ど顔出さないんだ、
年末年始にもちょっと襖の隙間から顔見せるくらいで…
家の中で村をまとめる重要な仕事してるらしいんだけど、どうも怪しかったし
出てった人より能無しっぽいんだ、まあ…と言うか、見ちまったんだけどな…」
ここで友人は顔を暗くしてため息を漏らした、あれは思い出したくない物を思い出した時の顔だった

友人はゆっくり語り始めた
「地主一家の一人が亡くなり葬式をした日の事なんだけど…、俺はまだ未成年だったけど目を付けられて、
日本酒を飲まされたんだ、当然酔い潰れた、そして地主の家に一晩泊まる事になって、
夜中に目が覚め、起きてトイレに向かった」
地主家は広く薄暗い、友人は慣れて無かったので(若干酔ってたせいもあると思うが)案の定迷ったらしい
トイレの場所が分からなくなり、とり合えず元来た道を引き返そうとしたら、後ろの方から
ペたっ…ペたっ…ペたっ…
と足音?が聞こえた、いや足音でも歩いてる音とは少し違った
どちらかと言うと弾んでるような音、それが近づいてくる。
ぺたっ…シュリ…ぺたっ…シュリ…ぺたん…
近づくに連れ何かを擦るような音も聞こえ始め、怖くなって近くの物入れの中に隠れて様子を見た
…物音の正体は人だった、安心してトイレの場所を聞こうと思ったが、飛び込んできた恐怖で体が止まった。
その人は黒装束を着ていて、顔には能面みたいな物を付けており足が片方付いて無い、
しかし手には足が一本握られていた。
余りのショックで息もできなかった、それが幸いしたのか黒装束に見つかる事も無く、そいつは片足で
 …ペタンッ…ペタンッ… とケンケンしながら奥に消えていった。
その夜は一睡も出来ず布団の中で震えた。
早朝、昨晩の出来事は地主一家に話すか話さないか迷ったが、好奇心に負け地主一家で一番信頼できる人に話した。 

その人は
「本当か!?ちょっと待っててくれ」
と言って奥の方に走って行き5分くらいで戻ってきた
「すまなかった、見てしまったんだな…出来れば忘れて欲しいが直にアレを見てしまったのでは無理だろう
今日はもう帰りなさい、後で話すがトラウマは少ないほうがいいから」
と言って帰された
2日後、その人と話したが信じ難い内容だった
あの黒装束は、代々地主一家に取り憑く幽霊の類だそうだ。
そいつが単体で何かをするわけでは無いが、
ある条件の人に取り憑き、ある条件の人に、ある事をするらしい、
その条件は聞けなかったが、想像に難くなった。
幽霊は、『脱落者』に取り憑くのだ。そして『脱落者』の候補に『脱落者の烙印』を押すのだと。
脱落の条件は成績等が芳しくない一族の者だろう、烙印は黒装束が持っていた物だろう
これで地主一家の優秀さが分かった、彼らは必死になって努力したのだろう
報われた者は秀才として家を出て行き、報われない者は家に留まる
言い換えれば、家から逃げ出せた者と、烙印を押されたが為に逃げ出せない者
脱落者は家の中に隠され存在する事だけ、他人と話すことが無いから周りの人は優秀な人しかいないと感じる
友人は
「村の年寄りは全部知ってるらしい」
と付け加える
私は
「その事他人に話しても大丈夫なの?」
と聞いた
友人は
「話してもアレを見て無い人は信じないだろ?それに地主一家はいろんなとこにパイプを持ってる
選挙なんて地主が入れた人が確実に当選するらしいしな」
と言う 

友人「ちなみに俺が見た時『脱落』した奴がこの前死んだよ、若かったし多分発狂したんじゃないかな
話してくれた人も顔が傷だらけだったし、俺でもエリートから脱落して引きこもりを強いられたら狂っちまうよ
それにあの家の東側は誰も行けないようになってるんだが偶に小さな悲鳴が聞こえるからな
あれの存在で全てが繋がったよ、俺のクラスに3男がいたんだがマラソン大会でゴールした後ぶっ倒れて
救急車に運ばれてったんだよ、俺はそこまで必死になるのが理解出来なかったんだけど、今なら分かる」
…友人はその後もその一族の武勇伝のようなものを次々と語りました
本人は気に食わないと言ってましたが、その口調は一族を称えてるようにしか聞こえません
知らず知らずの内に崇拝されるようなカリスマがその一族にはあるのかまたは霊的なもので洗脳されるのか…
私は後者に感じました、実際今でも友人は地主一族と交流があり
「彼らにはお世話になりっぱなし」
と言います、何より脱落した人として無い人では話し方が全く違うのです
「アレを見た時から彼らを見る目が変わったよ」
と笑顔で話す友人を見てその時友人が霊に中てられたのではないか、と言う考えが浮かび、恐怖を覚えました。 

怖い話まとめ【26】

TVに出るような、スゲー霊能者が、霊感100あるとしたら、
ワタシは多分2ぐらいの霊感しかないと思う。(適当な考えだがw)
ワタシの周りには、ワタシより幾分、霊感の強い友達が数名居るんですよ。
霊感の強い人の側に居ると、普段より霊感ってアガりません?
ワタシは普段2くらいなんで、霊の姿も視えないんですが、
その霊感強い系友達と一緒に居ると、視えたりすることがあるんです。
そんなワタシの霊体験を記しますね。
当時、ワタシは彼氏と別れたばっかりで、その後すぐ「ちょっとつきあってもイイかな?」みたいな男の人と
であったんですけど、その人『視える』人で(私の周り結構そうういう系が集まる。w)
まぁ、当時頻繁にウチ(実家)に遊びに来てたんですよ。
その頃、ワタシ、その人(以下T)には言ってなかったんですけど、『台所』が異常に気になってしかたなかったんです。
帰宅、あるいは出掛ける時、玄関から自室へ行くには、必ず台所前の廊下を通るんです。
すると、絶対何か台所に『人の気配』がするんですよ。
正確に言うと『背中を向けたロングヘアーの女の後姿の黒い影』が、台所の入り口に掛けてある
のれんの向こう、入り口に直線的に立ってるのが、チラッとだけ目に入るんです。
でも、ちゃんと視ようとして見ると居ないんです。
気になってはいたんですけど、所詮ワタシは霊感2(wの人間ですから
「気の所為だろう~」
ある日またTがウチに遊びに来たんです。
で、Tが家も遠いし明日も仕事だしで、帰るだんになったんです。
じゃあウチの前まで見送るかなって、2人で玄関まで行く途中バッ!て2人共、同時に台所を見たんです。
居ましたよ。『黒い影』が。 

って言うか、何の打ち合わせも無いのに、2人同時に台所を『見た』コトの方が、ワタシには怖かった。
「ねぇ…?」
ってTに話しかけたら
「ココじゃマズいから。」
とか言ってTはワタシを促して外に出した。
外に出て
「やっぱ何か居んの?」
って訊いてみたんです。ココからTの話。
最初に遊びに来た時には『アレ』は既にキミ(ワタシ)のウチに居た。
オレ(T)が車をキミのウチの横に路駐してる時、必ず2階の廊下の窓からオレの様子を見ている。
(2階の廊下の窓は、高い位置にある小窓で、身長180cm以上あるか、台でも無ければ外は見れない。)
そして玄関の方へ回ると、既に塀の入り口の、向かって左側に立って、様子を伺っている。
オレはいつも無視してる。けど、どうやら『定位置』は台所らしく、ウチに入るとソコに居る。
「何で今まで言ってくれなかったの~!?」
ワタシ半泣き。
「…気付いてないと思ってたから。変に怖がらせてもアレだし。」
Tは2階の廊下の窓を気にしてる。
「…何か『居る』って思ってたんだよ。…もしかして今もこっち見てる?」
「…うん…でもあんまり気にしない方がイイよ。」
Tは2階の廊下の窓から目を逸らした。

「ところでさ…『アレ』は何?」
ワタシは怖々訊きましたよ。
「『生霊』…だと思う。」
「ガクガク((((((;゜Д゜))))))ブルブル 何でそんなのがウチに!?」
「解らない…でも、多分…キミを訪ねて来る人が気になって『見てる』んだと思う。」
ブッチャけ、心当たりが若干2名ほどあったんですよ。
1人は仲違いして連絡を取らなくなった16年来の親友。(霊感アリアリ)
もう1人は、先日までつきあっていた彼氏の奥さん。w
しかし、台所に立つ姿形は、親友だったコより、はるかに背が高いんです。
そして、話にしか聞いたコトのない、元彼の奥さんは、髪が長く、身長170cm近いらしいんです。
明らかに後者かな~って思いましたね。もう別れたのに。
でも、別れたとか言いながら、ちょいちょいワタシのウチに遊びにきてましたからね。
ソレが原因で、Tにはフラれましたが、何故かTが来なくなってからは『アレ』が居なくなったんです。
…Tのお蔭でアガッてた霊感が2に戻って判らなくなっただけなのか、
はたまたTが原因だったのか(Tも×1でしたから。)
今となっては解りません。w 

怖い話まとめ【25】

上京してはじめて借りた部屋が最悪だった。
友達から父親の知り合いだって言う不動産屋に紹介されたんだけど、築十年位経ってるけど
部屋はきれいで広いし、なんか壁とかも新しくしたみたいですぐ気に入った。
それに広さの割には家賃が安い。
おまけに隣が
[角部屋|借りた部屋|お隣さん|
みたいな配置でなんか気楽。
しかも大家のおじさんがめちゃくちゃいい人。
引越し蕎麦とか、本当は俺が差し出す側なのにご馳走になってしまった。
それで2週間くらい住んでたんだけど、隣の角部屋ちっちゃい子が住んでるのか、
俺が仕事から帰ってきたら窓ガラス?を割っちゃったみたいで、窓があったとこに青いビニールが張られてた。
でもうるさくする事もないし、というかお隣さんとは会った事もなかったので特に気にとめずにいた。
時々ビニールを内側からツンツンしたり、何故か玄関ポストのとこにも貼ってあった粘着テープを
内側から指で突き破ってるとことかは見たけど、実際どんな子なのかは知らなかった。
まぁやってた仕事がファミレスの深夜の厨房だったので、基本ご近所さんと会う事はなかったんだけど。
そんである日、となりの角部屋に宅配便が届いたんだけどその日はお隣さんが留守だったみたいだから、
たまたま休みの日で昼間に起きていた俺が預かる事になった。
そんでお隣さんが帰ってくるまで仮眠をとろうと思って少し寝てたんだけど、
うっかり寝すぎて夜の8時になってしまった。
これ以上遅くなるとご迷惑かな?とも思ったので俺はお隣さん家に小包持ってピンポン押した。反応がない。 

ドアノブを回してみるとあっさり開いた。のでごめんくださーいと言ってちょっと開けて見ると、
部屋の中はすっからかんだった。
何もないすっからかん。人が住んでるようには見えない。
おかしいな?と思ったので大家さんに電話をしてみるとその部屋は俺が越してくる前から空き家だったらしい。
でも隣の部屋の中には確かに人が居るのを見たし(指だけだったけど)現に荷物も届いてる。
宛名は男の名前だった。
俺はちょっと怖くなって不動産屋に直接話を聞きに言ったら
「その部屋、昔変死体があってから人住んでないんです」
だって。
そんな事は部屋に入る前に言ってくれよ!と俺が泣いたら
「直接その部屋に住んでるわけではないので通告義務はないんです」
と。
結局1週間くらい住んで引っ越しました。
夜に窓から隣の部屋覗くと窓に張られたビニールが指の形に盛上がるのが怖かったんで。
因みに届いた小包、不動産屋から帰って来た日に無断で開けちゃったんですけど
焼いた土?みたいなのがいっぱいに入ってました。

怖い話まとめ【24】

文才ないんで読みにくいと思うけど実体験談を。
ちょっと長くなるかも
10年位前、当時、不動産 兼 建設会社に勤務していた時の話。
日祝祭日は交代で出勤してたある日の休日 俺の当番の日
色白で50代前半くらいの男性客が現れた。
今住んでる自宅を売却したいとのこと。
不動産情報誌に掲載する為、所在地、間取り等聞き取り、買い手を探す事になった。
ご想像通り この物件が後々厄介な出来事を引き起こすことになるんだけど、
霊感の類のものなんて、限りなく0に近い俺。
中に入っても、何も見えないし、何も感じない。普通の住宅にしか思わなかった。
2週間位たったある日の休日。
いつものように休日当番。
あの男性客が来た。
たわいもない世間話やプロ野球の話題の相手をしたりもした。
俺が休日の当番の日には必ずといっていいほど事務所に現れ、世間話をするってのが3ヶ月ほど続いた。
当時、俺の休日当番は月に2~3回位。
何故か、俺の当番のときだけ事務所に現れるらしい。
そんなこんなでその男性客以後”K”さんと仲良くなっていろんな話をするようになり、食事に誘われるまでになった。
週末、居酒屋に誘われて会社が終わってからKさんと一緒に呑んでたら、深刻そうな表情で俺に言ってきた。
”今から話すこと真面目に聞いてくれ”
仲良くなったとはいえ、Kさんはお客様。
”もちろんです”
と即答。
日本酒を一気飲みしてKさんが話した内容は次の通りだ(10年も前で記憶曖昧) 

家内と娘2人(中学と高校)の4人家族である。
今は1人暮らしだ。
次女の様子が変になってきた。
長女が不登校になった。
家内が鬱になった。
家内が入院することになった。
次女がノイローゼで精神科医院に通院することになった。
長女が家出。
家内の両親に家内と次女と長女(歌舞伎町で保護されたらしい)を預けた。
そんなわけで今は1人暮らしなんだ と。
家族の看病のために財産処分するんだと思い聴いていた。
曖昧だが鮮明に記憶してる話がある。
 
”夜中、枕元を 馬が走るんだ”
”1頭や2頭じゃないんだよ”
は?酔っ払ったか?でも目が真剣、しかも涙目。
返答に困ってる俺に
”今日、家に泊まってくれ たのむから”
いろんな心霊話は聞いてきたが、馬が出るってのは初めてだし、どっちかっていうとそんなネタ好きだったから、
その時は面白そうだったんで泊めてもらうことに。
その夜、Kさんの隣に布団を敷いて寝ることになったが、なぜか眠れない。
近所のコンビニでビールやら酒買込んできて、飲みながら時間が過ぎるのを待った。
深夜1時位隣の部屋で寝てるKさんのイビキが始まった。
俺は酔っ払ってて気にしてないしKさんの持ってたアダルトビデオの鑑賞に集中してた。
その後2時30分くらいまでは起きていたがそのまま寝てしまった。 

次の日の朝、9時位に目が覚めた、ひどい2日酔いで気分が悪い。
結局何もねーじゃねーか。
ちょっと残念なんて思いながらKさんの様子を見に行ったらKさんがいない。
布団の散らかりかたがハンパじゃない。
俺が寝てる間になんかあったのか?
どうしたんだろって家ん中さがしたら いた。
廊下に、階段の手摺にしがみついて寝てた。
って言うより、失神してたってかんじ。
しかも失禁してて口の周りは下呂まみれ。
コイツ、アブネー病気なんだ、関わんないほうがいい、そう判断しそのまま放置して帰ってきた。
会社の上司に経緯を説明し物件の取扱もやめKさんとの接点を断った。
その後、Kさんも俺の会社には現れなくなり3カ月ほど経ったある日、会社に手紙が届いた。
しかも俺宛。差出人はKさん。
いやな予感。達筆な字でA4用紙に5ページあった。
長女が事故死、次女が発狂精神科隔離病棟へ入院、家内が自殺。
事故の場所日時 病院名や病名 自殺の場所 詳しく書き綴ってた。
先日泊めていただいた日のことも書いてあった。
俺が居間で酔い潰れてた時、馬に乗った侍に追い回されたこと。
長女の後ろに老婆がいるのが見えるようになった。
家内の首に黒い靄が見える。 

現実とは思えないような内容ばかりだったが疑う気にはならなかった。
最後のページに俺への感謝(相談に乗ってくれた)と妻と長女がきにかかる。という内容で終わった。
いやな予感。
上司に付き添ってもらいKさんの家に。鍵がしてある。
勝手口の硝子を割り、中へ。臭い。
居間の隣の部屋(Kさんが寝てた部屋)にぶら下がってた。
言葉にならないような複雑な気持ちになった。
警察にきてもらい、事情を説明。
家族の不幸もホントだったらしい。
後日、後追い自殺で処理されたらしい。
その後、俺は会社を辞め、別の建設会社へ就職、現在に至る。
忙しい毎日だ。
先日、新しい物件が舞いこんできた。
中古住宅の全面リフォームだ。
予算が決まり着工することになった。
仮設工事を手配し着工させた日。
足場から作業員転落の知らせ。左手首と左足骨折。最悪のスタートだ。
とりあえず現場に行ってみる。 

お察しの通り あのKさんの家。
怪我した作業員は
”誰かに押された”
って言い張ってる。
10年経ってようやく忘れかけたいやな思いがよみがえって来る。
工事受注した営業マンや社長へは10年前のことは話してないが、不景気な建設業界。
この工事取止めってことは出来ないらしい。
工事担当になった後輩のT君、胃潰瘍の為入院。(デキスギダロ)
俺に後任の役が回ってきそうだ。(他に工事担当できる奴いねーしほぼ決定)
今すぐ会社辞めたいが、30代半ばになると転職先もあまりない。
この工事 中止にしてもらうように 明日社長に言って見よう。
以上 おちなしでスマソ 

怖い話まとめ【23】

今日は母がまだ若い頃に聞いてきた話をします。
母がまだ若い頃に聞いて来た話ですから、戦後10年前後だと思って下さい。
田舎の宿場に来年の春に東京の大学に受験をするという一人の若い男が、
海に見える宿屋に夏の間だけ避暑兼受験勉強のためにやってきました。
実家はまだ幼い弟妹達、祖父母に両親、子守娘に下男…と豪農ゆえに家族や出入りの人間が多く、
せっかく皆の期待に答えたいための大学受験の勉強なのにうるさくて勉強も出来ない、
と祖父母と両親に頼み込んで、海辺の宿屋にやって来た。
彼(学生さん)が案内された部屋を見ると、窓の向こうには青い海原が広がっていて
昼間は海からの涼しい風が入り込んで中々気持ちよかった。
畳みも痛んでないし、綺麗に掃除されている。
8畳一間の部屋だが、居心地は良かった。
部屋の中ほどに入ってふと、入り口のふすまを振り返ると壁に向かって文机で勉強している若い男の後姿が。
思わずびっくりした学生さんだが、気を持ち直して話しかけた。
「あ、あの今日からこちらでお世話になります。どうかよろしくお願いします」
男は背を向けたまま
「よろしく」
とだけ言った。
学生さんは(愛想悪いな…)と思ったが自分も勉強しなきゃいけない身だし
早々他の人に構っていられないことを思い出して、自分も窓際の方にあった文机に向かって勉強に取り掛かった。
目の前の文字が読み辛くなって初めて日が暮れたことに気付いた。
振り返ると男もまだ、暗い机に向かっていた。
「電気を点けても宜しいですか?」
学生さんが尋ねると男は
「はい」
とだけ答えた。 

部屋の電気を点けたとほぼ同じに下の階から
ごはんですよー」
と声がかかった。
「はーい」
と返事して部屋を出ようとしても、男は一向に立ち上がらない。
「あなたは行かないんですか?」
学生さんが声をかけた。
「私はもう結構なんです」
男が答えた。
「そうですか…では僕、行ってきます」
「いってらっしゃい」
学生さんは何だか男との距離が縮まった気がして、その日はしっかり夕飯を食べた。
学生さんは夕食の後も勉強した。
トイレに行きたくなって、初めて男が一度も立ち上がった気配がない事に気付いたが
「僕が夢中になってたから気付かなかったんだろうな。あの人も頑張るなぁ」
と考えていた。
寝る時間になって布団を引いたが、男はまだ机に向かっていた。
「お休みにならないんですか?」
学生さんが話しかけると
「僕は結構です」
と答えが返ってきた。
「ではお先に」
「おやすみなさい」
学生さんが部屋の電気を消すと明かりは男の机の上の明かりだけになった。
学生さんは男に背を向けるように眠った。

次の朝。
学生さんが目を覚ますと男はもう机に向かっていた。
軽くあいさつをして、学生さんは洗面に向かい、そのまま朝食を食べた。
気が付いたがここの宿屋に泊まってるのはどうやら自分と男だけらしかった。
昼間も難なく終わり、夜、その日は蚊が凄い夜だった。
線香を炊いても蚊が襲ってくる。でも窓を閉めるととても暑い。
学生さんは男に話しかけた。
「蚊が凄いですね~、痒くないですか?」
男は答えた。
「私は息をしてませんから」
学生さんは、(あ、蚊は人の息に反応するって聞くからな…なるほど)と
自分も呼吸を止めてみたが、やっぱり蚊に刺されてしまう。
その夜は勉強にならず、寝ることにした。
何日も過ぎて、やがて夏休みを終えるようになり学生さんは家に帰ることになった。
男に最後の別れを告げたが、最後まで男は振り返る事もなく学生さんに顔を見せなかった。
学生さんは同室だった男の事を聞こうとした。
もしかしたら、春、東京の大学で会えるかもしれない。そう思ったからだ。
だが、女将さんは意外な事を言った。
「ここは坊ちゃんのお家専用のお宿ですよ?他家の方はお泊りになれません。」
「え?でも、僕の部屋に若い男が勉強してたよ?」
「いいえ、ここにお泊りだったのは坊ちゃんだけで、後は私(女将)と娘(女中)と裏にいる私の主人だけですよ」
学生さんは、彼が言った「息をしてませんから」を思い出した。
慌てて自分が寝泊りしていた部屋を見に行ったが、そこにまだ男はいた。
だが、学生さんは男に話しかけることなくその宿(実は別荘)を後にした。
男は、生きていなかったのだ。
学生さんは無事、東京の大学に入学した。